第68条 知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会
貿易関連知的所有権理事会は,この協定の実施,特に,加盟国のこの協定に基づく義務の遵守を監視し,及び加盟国に対し,知的所有権の貿易関連の側面に関する事項について協議の機会を与える。同理事会は,加盟国により与えられる他の任務を遂行し,特に,紛争解決手続において加盟国が要請する支援を提供する。その任務を遂行するに当たって,同理事会は,適当と認める者と協議し,情報の提供を求めることができる。WIPOと協議の上,同理事会は,その1回目の会合から1年以内に,WIPOの内部機関と協力するための適当な取決めを作成するよう努める。… 全文
第69条 国際協力
加盟国は,知的所有権を侵害する物品の国際貿易を排除するため,相互に協力することを合意する。このため,加盟国は,国内行政機関に連絡先を設け,これを通報し,及び侵害物品の貿易に関して情報を交換することができるように準備する。加盟国は,特に,不正商標商品及び著作権侵害物品の貿易に関して,税関当局間で情報の交換及び協力を促進する。… 全文
第60条 少量の輸入
加盟国は,旅行者の手荷物に含まれ又は小型貨物で送られる少量の非商業的な性質の物品については,上述の規定の適用から除外することができる。… 全文
第61条
加盟国は,少なくとも故意による商業的規模の商標の不正使用及び著作物の違法な複製について適用される刑事上の手続及び刑罰を定める。制裁には,同様の重大性を有する犯罪に適用される刑罰の程度に適合した十分に抑止的な拘禁刑又は罰金を含む。適当な場合には,制裁には,侵害物品並びに違反行為のために主として使用される材料及び道具の差押え,没収及び廃棄を含む。加盟国は,知的所有権のその他の侵害の場合,特に故意にかつ商業的規模で侵害が行われる場合において通用される刑事上の手続及び刑罰を定めることができる。… 全文
第62条
(1)加盟国は,第2部第2節から第6節までに規定する知的所有権の取得又は維持の条件として,合理的な手続及び方式に従うことを要求することができる。この手続及び方式は,この協定に合致するものとする。
(2)知的所有権の取得について権利が登録され又は付与される必要がある場合には,加盟国は,権利の取得のための実体的な条件が満たされていることを条件として,保護期間が不当に短縮されないように,権利の登録又は付与のための手続を合理的な期間内に行うことを確保する。
(3)1967年のパリ条約第4条の規定は,サービス・マークについて準用する。
(4)知的所有権の取得又は維持に関する手続並びに,加盟国の国内法令が定める場合には,行政上の取消し及び異議の申立て,取消し,無効等の当事者間手続は,第41条(2)及び(3)に定める一般原則により規律される。
(5)(4)に規定する手続における最終的な行政上の決定は,司法当局又は準司法当局による審査に服する。ただし,退けられた異議の申立て又は行政上の取消しに係る決定については,これらの手続を求めた理由に基づき無効確認手続を行うことができることを条件として,当該審査の機会を与える義務を負わない。… 全文
第50条
(1)司法当局は,次のことを目的として迅速かつ効果的な暫定措置をとることを命じる権限を有する。
(a) 知的所有権の侵害の発生を防止すること。特に,物品が管轄内の流通経路へ流入することを防止すること(輸入物品が管轄内の流通経路へ流入することを通関後直ちに防止することを含む。)
(b) 申し立てられた侵害に関連する証拠を保全すること
(2)司法当局は,適当な場合には,特に,遅延により権利者に回復できない損害が生じるおそれがある場合又は証拠が破棄される明らかな危険がある場合には,他方の当事者に意見を述べる機会を与えることなく,暫定措置をとる権限を有する。
(3)司法当局は,申立人が権利者であり,かつ,その権利が侵害されていること又は侵害の生じる差し迫ったおそれがあることを十分な確実性をもって自ら確認するため,申立人に対し合理的に入手可能な証拠を提出するよう要求し,並びに被申立人を保護し及び濫用を防止するため,申立人に対し十分な担保又は同等の保証を提供することを命じる権限を有する。
(4)暫定措置が他方の当事者が意見を述べる機会を与えられることなくとられた場合には,影響を受ける当事者は,最も遅い場合においても,当該暫定措置の実施後遅滞なく通知を受ける。暫定措置の通知後合理的な期間内に,当該暫定措置を変更するか若しくは取り消すか又は確認するかの決定について,被申立人の申立てに基づき意見を述べる機会の与えられる審査を行う。
(5)暫定措置を実施する機関は,申立人に対し,関連物品の特定に必要な情報を提供するよう要求することができる。
(6)(1)及び(2)の規定に基づいてとられる暫定措置は,本案についての決定に至る手続が,合理的な期間(国内法令によって許容されるときは,暫定措置を命じた司法当局によって決定されるもの。その決定がないときは,20執務日又は31日のうちいずれか長い期間を超えないもの)… 全文
(注)
加盟国は,関税同盟を構成する他の加盟国との国境を越える物品の移動に関するすべての管理を実質的に廃止している場合には,その国境においてこの節の規定を適用することを要求されない。
第51条 税関当局による物品の解放の停止
加盟国は,この節の規定に従い,不正商標商品又は著作権侵害物品(注1)が輸入されるおそれがあると疑うに足りる正当な理由を有する権利者が,これらの物品の自由な流通への解放を税関当局が停止するよう,行政上又は司法上の権限のある当局に対し書面により申立てを提出することができる手続(注2)を採用する。加盟国は,この節の要件を満たす場合には,知的所有権のその他の侵害を伴う物品に関してこのような申立てを可能とすることができる。加盟国は,自国の領域から輸出されようとしている侵害物品の税関当局による解放の停止についても同様の手続を定めることができる。
(注1)
この協定の適用上,
(a) 「不正商標商品」とは,ある商品について有効に登録されている商標と同一であり又はその基本的側面において当該商標と識別できない商標を許諾なしに付した,当該商品と同一の商品(包装を含む。)であって,輸入国の法令上,商標権者の権利を侵害するものをいう。
(b) 「著作権侵害物品」とは,ある国において,権利者又は権利者から正当に許諾を受けた者の承諾を得ないである物品から直接又は間接に作成された複製物であって,当該物品の複製物の作成が,輸入国において行われたとしたならば,当該輸入国の法令上,著作権又は関連する権利の侵害となったであろうものをいう。
(注2)
権利者によって若しくはその承諾を得て他の国の市場に提供された物品の輸入又は通過中の物品については,この手続を適用する義務は生じないと了解する。… 全文
第52条 申立て
前条の規定に基づく手続を開始する権利者は,輸入国の法令上,当該権利者の知的所有権の侵害の事実があることを権限のある当局が一応確認するに足りる適切な証拠を提出し,及び税関当局が容易に識別することができるよう物品に関する十分詳細な記述を提出することが要求される。権限のある当局は,申立てを受理したかしなかったか及び,権限のある当局によって決定される場合には,税関当局が措置をとる期間について,合理的な期間内に申立人に通知する。… 全文
第53条 担保又は同等の保証
(1)権限のある当局は,申立人に対し,被申立人及び権限のある当局を保護し並びに濫用を防止するために十分な担保又は同等の保証を提供するよう要求する権限を有する。担保又は同等の保証は,手続の利用を不当に妨げるものであってはならない。
(2)意匠,特許,回路配置又は開示されていない情報が用いられている物品に関して,この節の規定に基づく申立てに伴い,当該物品の自由な流通への解放が司法当局その他の独立した当局以外の権限のある当局による決定を根拠として税関当局によって停止された場合において,第55条に規定する正当に権限を有する当局による暫定的な救済が与えられることなく同条に規定する期間が満了したときは,当該物品の所有者,輸入者又は荷受人は,侵害から権利者を保護するために十分な金額の担保の提供を条件として当該物品の解放についての権利を有する。ただし,輸入のための他のすべての条件が満たされている場合に限る。当該担保の提供により,当該権利者が利用し得る他の救済措置が害されてはならず,また,権利者が合理的な期間内に訴えを提起する権利を行使しない場合には,担保が解除されることを了解する。… 全文
第54条 物品の解放の停止の通知
輸入者及び申立人は,第51条の規定による物品の解放の停止について速やかに通知を受ける。… 全文