第42条 公正かつ公平な手続
加盟国は,この協定が対象とする知的所有権の行使に関し,民事上の司法手続を権利者(注)に提供する。被申立人は,十分に詳細な内容(主張の根拠を含む。)を含む書面による通知を適時に受ける権利を有する。当事者は,独立の弁護人を代理人とすることが認められるものとし,また,手続においては,義務的な出頭に関して過度に重い要件を課してはならない。手続の当事者は,その主張を裏付けること及びすべての関連する証拠を提出することについての正当な権利を有する。手続においては,現行の憲法上の要請に反さない限り,秘密の情報を特定し,かつ,保護するための手段を提供する。
(注)
この部の規定の適用上,「権利者」には,権利を主張する法的地位を有する連合及び団体を含む。… 全文
第43条 証拠
(1)一方の当事者がその主張を十分裏付ける合理的に入手可能な証拠を提出し,かつ,他方の当事者の有する当該主張の裏付けに関連する証拠を特定した場合には,司法当局は,適当な事実において秘密の情報の保護を確保することを条件として,他方の当事者にその特定された証拠の提示を命じる権限を有する。
(2)手続の一方の当事者が必要な情報の利用の機会を故意にかつ十分な理由なしに拒絶し若しくは合理的な期間内に必要な情報を提供せず又は行使に関連する手続を著しく妨げる場合には,加盟国は,双方の当事者が主張又は証拠に関し意見を述べる機会を与えられることを条件として,提供された情報(情報の利用の機会の拒絶によって悪影響を受けた他方の当事者が提示した申立て又は主張を含む。)に基づいて,暫定的及び最終的な決定(肯定的であるか否定的であるかを問わない。)を行う権限を司法当局に与えることができる。… 全文
第44条 差止命令
(1)司法当局は,当事者に対し,知的所有権を侵害しないこと,特に知的所有権を侵害する輸入物品の管轄内の流通経路への流入を通関後直ちに防止することを命じる権限を有する。加盟国は,保護の対象であって,その取引が知的所有権の侵害を伴うことを関係者が知るか又は知ることができる合理的な理由を有することとなる前に当該関係者により取得され又は注文されたものに関しては,当該権限を与える義務を負わない。
(2)政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用については,当該使用を明示的に定める第2部の規定に従うことを条件として,加盟国は,この部の他の規定にかかわらず,当該使用に対する救済措置を,第31条(h)の規定による報酬の支払に限定することができる。当該使用であってそのような救済措置の限定の対象とならないものについては,この部に定める救済措置が適用され,又は,当該救済措置が国内法令に抵触する場合には,宣言的判決及び適当な補償が行われるものとする。… 全文
第48条 被申立人に対する賠償
(1)司法当局は,当事者に対し,その申立てにより措置がとられ,かつ,当該当事者が行使手続を濫用した場合には,その濫用により不法に要求又は制約を受けた当事者が被った損害に対する適当な賠償を支払うよう命じる権限を有する。司法当局は,また,申立人に対し,費用(適当な弁護人の費用を含むことができる。)を被申立人に支払うよう命じる権限を有する。
(2)知的所有権の保護又は行使に係る法の運用に関し,加盟国は,当該法の運用の過程において措置が誠実にとられ又はとることが意図された場合に限り,公の機関及び公務員の双方の適当な救済措置に対する責任を免除する。… 全文
第六十四条
留保
(1)(a) いずれの国も、第二章の規定に拘束されないことを宣言することができる。
(b) (a)の宣言を行つた国は、第二章の規定及び規則中同章の規定に対応する規定に拘束されない。
(2)(a) (1)(a)の宣言を行わない国は、次のことを宣言することができる。
(ⅰ) 国際出願の写し及び所定の翻訳文の提出については第三十九条(1)の規定に拘束されないこと。
(ⅱ) 第四十条に規定する国内処理の繰延べの義務によつて、自国の国内官庁による又はこれに通ずる国際出願又はその翻訳文の公表が妨げられることのないこと。もつとも、当該国内官庁に対し第三十条及び第三十八条の義務を免除するものと解してはならない。
(b) (a)の宣言を行つた国は、その限度において当該規定に拘束されない。
(3)(a) いずれの国も、自国に関する限り、国際出願の国際公開を行う必要がないことを宣言することができる。
(b) 優先日から十八箇月を経過した時に、国際出願に(a)の宣言を行つている国のみの指定が含まれている場合には、その国際出願の第二十一条(2)の規定に基づく国際公開は、行わない。
(c) (b)の規定が適用される場合であつても、国際事務局は、
(ⅰ) 出願人から請求があつたときは、規則の定めるところにより当該国際出願の国際公開を行う。
(ⅱ) 国際出願に基づく国内出願又は特許が(a)の宣言を行つているいずれかの指定国の国内官庁により又はその国内官庁のために公表されたときは、その公表の後速やかに当該国際出願の国際公開を行う。ただし、優先日から十八箇月を経過する前であつてはならない。
(4)(a) 自国の特許が公表の日前の日から先行技術としての効果を有することを定めているが工業所有権の保護に関するパリ条約に基づいて主張される優先日を先行技術の問題については自国における実際の出願日と同等に取り扱わないこととする国内法令を有する国は、自国の指定を含む国際… 全文
第六十八条
寄託
(1) この条約の原本は、署名のための開放が終了したときは、事務局長に寄託する。
(2) 事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及びこの条約に附属する規則の謄本二通を認証して送付する。
(3) 事務局長は、この条約を国際連合事務局に登録する。
(4) 事務局長は、すべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及び規則の修正の謄本二通を認証して送付する。… 全文
第六十九条
通報
事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府に対し、次の事項を通報する。
(ⅰ) 第六十二条の署名
(ⅱ) 第六十二条に規定する批准書又は加入書の寄託
(ⅲ) この条約の効力発生の日及び第六十三条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなる日
(ⅳ) 第六十四条(1)から(5)までの規定に基づく宣言
(ⅴ) 第六十四条(6)(b)の規定に基づく撤回
(ⅵ) 第六十六条の規定によつて受領した廃棄通告
(ⅶ) 第三十一条(4)の宣言… 全文
序
締約国は、
科学及び技術の進歩に貢献することを希望し、
発明の法的保護を完全なものにすることを希望し、
複数の国において発明の保護が求められている場合に発明の保護の取得を簡易かつ一層経済的なものにすることを希望し、
新たな発明を記載した文書に含まれている技術情報の公衆による利用が容易かつ速やかに行われるようにすることを希望し、
開発途上にある国の特別の必要に応ずる技術的解決の可能性に関する入手の容易な情報を提供することにより、また、絶えず増大する近代技術の利用を容易にすることにより、国内的制度であるか広域的制度であるかを問わず開発途上にある国における発明の保護のための法律制度の効率を高めるための措置を採用することを通じてその経済発展を助長し及び促進することを希望し、
諸国間の協力がこれらの目的の達成を極めて容易にすることを確信して、
この条約を締結した。… 全文
第六十二条
締約国となるための手続
(1) 工業所有権の保護に関する国際同盟の構成国は、次のいずれかの手続により、締約国となることができる。
(ⅰ) 署名し、その後に批准書を寄託すること。
(ⅱ) 加入書を寄託すること。
(2) 批准書又は加入書は、事務局長に寄託する。
(3) 工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第二十四条の規定は、この条約の適用について準用する。
(4) (3)の規定は、いずれかの締約国が(3)の規定に基づいてこの条約を適用する領域の事実上の状態
を、他の締約国が承認し又は黙示的に容認することを意味するものと解してはならない。… 全文
第二十七条
国内的要件
(1) 国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない。
(2) (1)の規定は、第七条(2)の規定の適用を妨げるものではなく、また、国内法令が、指定官庁における国際出願の処理が開始された後に、
(ⅰ) 出願人が法人である場合にその法人を代表する権限を有する役員の氏名を届け出ること、又は
(ⅱ) 国際出願の一部をなす書類ではないが、国際出願においてされている主張若しくは記述の裏付けとなる書類(出願時に出願人の代表者又は代理人が国際出願に署名している場合に、出願人が自己の署名によつて国際出願を確認するものを含む。)を提出することを定めることを妨げるものでもない。
(3) 出願人が発明者でないという理由で当該指定国の国内法令により国内出願をする資格を有しない場合には、当該指定官庁は、当該国際出願を却下することができる。
(4) 指定国の国内法令が、国内出願の形式又は内容につき、この条約及び規則に国際出願について定める要件よりも出願人の立場からみて有利な要件を定めている場合には、当該指定国の国内官庁、裁判所その他の権限のある機関又は当該指定国のために行動するこれらの機関は、この条約及び規則に定める要件に代えて当該国内法令に定める要件を国際出願について適用することができる。ただし、出願人が、この条約及び規則に定める要件が国際出願について適用されることを要求するときは、この限りでない。
(5) この条約及び規則のいかなる規定も、各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと解してはならない。特に先行技術の定義に関するこの条約及び規則の規定は、専ら国際的手続について適用されるものであり、したがつて、いずれの締約国も、国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たつて、先行技術
その他の特許… 全文