第71条 検討及び改正
(1)貿易関連知的所有権理事会は,第65条(2)に規定する経過期間が満了した後この協定の実施について検討する。同理事会は,この協定の実施により得られた経験を考慮に入れ,当該経過期間の満了の日から2年後及びその後も同一の間隔で検討を行う。同理事会は,また,この協定の修正又は改正を正当化する関連する新たな進展を考慮して検討を行うことができる。
(2)他の多数国間協定で達成され,かつ,効力を有する知的所有権の一層高い保護の水準であって,世界貿易機関のすべての加盟国により当該協定に基づき受け入れられたものに適合するためのみの改正は,貿易関連知的所有権理事会のコンセンサス方式によって決定された提案に基づき,世界貿易機関協定第10条(6)の規定に従い閣僚会議が行動するために閣僚会議に付することができる。… 全文
附属書
(1)第31条の2及びこの附属書の規定の適用上,
(a) 「医薬品」とは,知的所有権の貿易関連の側面に関する協定及び公衆の健康に関する宣言(文書番号WT/MIN(01)/DEC/2)の(1)において認められる公衆の健康に関する問題に対処するために必要とされる医薬分野の特許を受けた物又は特許を受けた方法によって生産された物をいう。医薬品には,その生産のために必要な有効成分及びその使用のために必要とされる診断用品を含むものと了解する。(注)
(注)
この(a)の規定は,(b)の規定の適用を妨げるものではない。
(b) 「輸入する資格を有する加盟国」とは,後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって,貿易関連知的所有権理事会に対して第31条の2及びこの附属書に規定する制度(以下この附属書において「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告(注1)を行ったものをいう。加盟国は,全面的に又は限られた範囲で,例えば,国家緊急事態その他の極度の緊急事態の場合又は公的な非商業的使用の場合にのみ,当該制度を利用する旨の通告をいつでも行うことができるものと了解する。一部の加盟国(注2)は,輸入する資格を有する加盟国として当該制度を利用しないことに留意し,他の一部の加盟国は,輸入する資格を有する加盟国として当該制度を利用するのは国家の緊急事態その他の極度の緊急事態の場合に限ることを表明していることに留意する。
(注1)
当該制度を利用するために,この通告が世界貿易機関の内部機関によって承認される必要はないものと了解する。
(注2)
オーストラリア,カナダ,欧州共同体並びに第31条の2及びこの附属書の規定の適用上はその構成国,アイスランド,日本国,ニュージーランド,ノルウェー,スイス並びにアメリカ合衆国
(c) 「輸出加盟国」とは,輸入する資格を有する加盟国のために医薬品を生産し,それを当該輸入する資格を有する加盟国に輸出するために当該制度を利用する加盟国をいう。… 全文
第62条
(1)加盟国は,第2部第2節から第6節までに規定する知的所有権の取得又は維持の条件として,合理的な手続及び方式に従うことを要求することができる。この手続及び方式は,この協定に合致するものとする。
(2)知的所有権の取得について権利が登録され又は付与される必要がある場合には,加盟国は,権利の取得のための実体的な条件が満たされていることを条件として,保護期間が不当に短縮されないように,権利の登録又は付与のための手続を合理的な期間内に行うことを確保する。
(3)1967年のパリ条約第4条の規定は,サービス・マークについて準用する。
(4)知的所有権の取得又は維持に関する手続並びに,加盟国の国内法令が定める場合には,行政上の取消し及び異議の申立て,取消し,無効等の当事者間手続は,第41条(2)及び(3)に定める一般原則により規律される。
(5)(4)に規定する手続における最終的な行政上の決定は,司法当局又は準司法当局による審査に服する。ただし,退けられた異議の申立て又は行政上の取消しに係る決定については,これらの手続を求めた理由に基づき無効確認手続を行うことができることを条件として,当該審査の機会を与える義務を負わない。… 全文
第64条 紛争解決
(1)この協定に別段の定めがある場合を除くほか,紛争解決了解によって詳細に定められて適用される1994年のガットの第22条及び第23条の規定は,この協定に係る協議及び紛争解決について準用する。
(2)1994年のガット第23条(1)(b)及び(c)の規定は,世界貿易機関協定の効力発生の日から5年間,この協定に係る紛争解決については,準用しない。
(3)(2)に規定する期間の間,貿易関連知的所有権理事会は,1994年のガット第23条(1)(b)及び(c)に規定する種類の苦情であってこの協定に従って申し立てられるものの範囲及び態様を検討し,並びに承認のため閣僚会議に勧告を提出する。この勧告の承認又は(2)に規定する期間の延長は,閣僚会議がコンセンサス方式によってのみ決定する。承認された勧告は,その後の正式な受諾手続なしにすべての加盟国について効力を生じる。… 全文
第65条 経過措置
(1)(2),(3)及び(4)の規定に従うことを条件として,加盟国は,世界貿易機関協定の効力発生の日の後1年の期間が満了する前にこの協定を適用する義務を負わない。
(2)開発途上加盟国は,(1)に定めるところによりこの協定を適用する日から更に4年の期間,この協定(第3条,第4条及び第5条の規定を除く。)の適用を延期することができる。
(3)中央計画経済から市場自由企業経済への移行過程にある加盟国であって,知的所有権制度の構造的な改革を行い,かつ,知的所有権法令の準備及び実施において特別な問題に直面しているものも,(2)に規定する延期の期間を享受することができる。
(4)開発途上加盟国は,(2)に規定するこの協定の当該開発途上加盟国への一般的な適用の日において,この協定により物質特許の保護をその領域内で物質特許によって保護していない技術分野に拡大する義務を負う場合には,第2部第5節の物質特許に関する規定の当該技術分野への適用を更に5年の期間延期することができる。
(5)(1),(2),(3)又は(4)に規定する経過期間を援用する加盟国は,当該経過期間の間の国内法令及び慣行の変更がこの協定との適合性の程度を少なくすることとはならないことを確保する。… 全文
第66条 後発開発途上加盟国
(1)後発開発途上加盟国は,その特別のニーズ及び要求,経済上,財政上及び行政上の制約並びに存立可能な技術的基礎を創設するための柔軟性に関する必要にかんがみ,第65条(1)に定めるところによりこの協定を適用する日から10年の期間,この協定(第3条,第4条及び第5条の規定を除く。)を適用することを要求されない。貿易関連知的所有権理事会は,後発開発途上加盟国の正当な理由のある要請に基づいて,この期間を延長することを認める。
(2)先進加盟国は,後発開発途上加盟国が健全かつ存立可能な技術的基礎を創設することができるように技術の移転を促進し及び奨励するため,先進加盟国の領域内の企業及び機関に奨励措置を提供する。… 全文
第50条
(1)司法当局は,次のことを目的として迅速かつ効果的な暫定措置をとることを命じる権限を有する。
(a) 知的所有権の侵害の発生を防止すること。特に,物品が管轄内の流通経路へ流入することを防止すること(輸入物品が管轄内の流通経路へ流入することを通関後直ちに防止することを含む。)
(b) 申し立てられた侵害に関連する証拠を保全すること
(2)司法当局は,適当な場合には,特に,遅延により権利者に回復できない損害が生じるおそれがある場合又は証拠が破棄される明らかな危険がある場合には,他方の当事者に意見を述べる機会を与えることなく,暫定措置をとる権限を有する。
(3)司法当局は,申立人が権利者であり,かつ,その権利が侵害されていること又は侵害の生じる差し迫ったおそれがあることを十分な確実性をもって自ら確認するため,申立人に対し合理的に入手可能な証拠を提出するよう要求し,並びに被申立人を保護し及び濫用を防止するため,申立人に対し十分な担保又は同等の保証を提供することを命じる権限を有する。
(4)暫定措置が他方の当事者が意見を述べる機会を与えられることなくとられた場合には,影響を受ける当事者は,最も遅い場合においても,当該暫定措置の実施後遅滞なく通知を受ける。暫定措置の通知後合理的な期間内に,当該暫定措置を変更するか若しくは取り消すか又は確認するかの決定について,被申立人の申立てに基づき意見を述べる機会の与えられる審査を行う。
(5)暫定措置を実施する機関は,申立人に対し,関連物品の特定に必要な情報を提供するよう要求することができる。
(6)(1)及び(2)の規定に基づいてとられる暫定措置は,本案についての決定に至る手続が,合理的な期間(国内法令によって許容されるときは,暫定措置を命じた司法当局によって決定されるもの。その決定がないときは,20執務日又は31日のうちいずれか長い期間を超えないもの)… 全文
第52条 申立て
前条の規定に基づく手続を開始する権利者は,輸入国の法令上,当該権利者の知的所有権の侵害の事実があることを権限のある当局が一応確認するに足りる適切な証拠を提出し,及び税関当局が容易に識別することができるよう物品に関する十分詳細な記述を提出することが要求される。権限のある当局は,申立てを受理したかしなかったか及び,権限のある当局によって決定される場合には,税関当局が措置をとる期間について,合理的な期間内に申立人に通知する。… 全文
第53条 担保又は同等の保証
(1)権限のある当局は,申立人に対し,被申立人及び権限のある当局を保護し並びに濫用を防止するために十分な担保又は同等の保証を提供するよう要求する権限を有する。担保又は同等の保証は,手続の利用を不当に妨げるものであってはならない。
(2)意匠,特許,回路配置又は開示されていない情報が用いられている物品に関して,この節の規定に基づく申立てに伴い,当該物品の自由な流通への解放が司法当局その他の独立した当局以外の権限のある当局による決定を根拠として税関当局によって停止された場合において,第55条に規定する正当に権限を有する当局による暫定的な救済が与えられることなく同条に規定する期間が満了したときは,当該物品の所有者,輸入者又は荷受人は,侵害から権利者を保護するために十分な金額の担保の提供を条件として当該物品の解放についての権利を有する。ただし,輸入のための他のすべての条件が満たされている場合に限る。当該担保の提供により,当該権利者が利用し得る他の救済措置が害されてはならず,また,権利者が合理的な期間内に訴えを提起する権利を行使しない場合には,担保が解除されることを了解する。… 全文
第55条 物品の解放の停止の期間
申立人が物品の解放の停止の通知の送達を受けてから10執務日(適当な場合には,この期間は,10執務日延長することができる。)を超えない期間内に,税関当局が,本案についての決定に至る手続が被申立人以外の当事者により開始されたこと又は正当に権限を有する当局が物品の解放の停止を延長する暫定措置をとったことについて通報されなかった場合には,当該物品は,解放される。ただし,輸入又は輸出のための他のすべての条件が満たされている場合に限る。本案についての決定に至る手続が開始された場合には,合理的な期間内に,解放の停止を変更するか若しくは取り消すか又は確認するかの決定について,被申立人の申立てに基づき意見を述べる機会の与えられる審査を行う。第1段から第3段までの規定にかかわらず,暫定的な司法上の措置に従って物品の解放の停止が行われ又は継続される場合には,第50条(6)の規定を適用する。… 全文